ARMORED CORE FAN

アーマード・コアファン

ARMORED CORE REVOLUTION MEMORIES > MEMORIES8 And, I want you to bury it under the height where the sky on the ground is seen

俺は・・・一体何がしたかったのだろうか・・・。

でも・・・彼女は最後に笑っていた・・・。


―――


「シルヴィ・ワイズマン・・・否・・・『披研番号122348』・・・」
何人もの科学者がシルヴィを取り囲み、彼女の『名前』を口にした。

「・・・ついに・・・私の番ですか・・・」
彼女はそう言うと下を向いた。
そして大人しくその科学者に従い、通路を歩いていった。

彼女は歩みを止め、どこか悲しそうな目をして後ろを振り向くが、すぐにまた歩き出した。


―――


シルヴィとのショッピングを終えてから数日後・・・あれ以来彼女とは出会っていない・・・。
彼女との約束が忘れられず、何かと気がかりでいて、もう一度彼女に確かめたいと思っていたが、会っていないから確かめようがない。
「シルヴィ・・・」
(まさか、彼女はもう・・・)
そんな考えが頭をよぎる。
しかし、そんな事、考えたくもなかった、俺はその考えを頭から振り払おうとした。

そんな中、とある依頼が機関から来た。

「今回は我々が作成した、試作兵器の実験に付き合ってもらいたい」
機関の人間には絶対服従・・・そう演じてきた俺だったが、今回の任務は絶えられない位、怒りと悲しみを覚えた任務だった。
ガルシティでシティガードを相手にした実戦演習・・・自身の研究の成果の為には手段を選ばない・・・そんな連中だと俺はつくづく実感した。

(数日前まで買い物を楽しんだ場所が、後で戦場になる・・・そんな世の中だから当り前か・・・)
俺はそう言い聞かせ、依頼を受けた。


実験に使用されるのは『ディスチャージャー』と呼ばれるAC。
いや、ACの形をしているが、中身は全く別物だった。
右腕には『カラサワ』と称されるレーザーライフル、左腕には大型マシンガンを装備している。
『計画』と何度かブリーフィングで言っていたが、俺には興味のない事だった・・・。

作戦時間は3分間・・・この間にディスチャージャーよりも撃破数が上回っていたら報酬が倍になる・・・死のゲームだった。
俺はメインストリートに3機一隊で展開しているシティガードのMT『ガードウォーカー』に向けてスナイパーライフルを一発当ててやった。
銃弾を喰らったガードウォーカーは沈黙、俺はブーストでもう2機に接近、手を掛けた。
この間10秒・・・撃破数3。
「3機撃破・・・!」

『2機・・・・撃破・・・』
追いつき追い越すかの如くディスチャージャーも撃破数を稼いでいく。
俺は敵を狭い路地に追い込み、一気に月光で斬り捨てる作戦に出た。
「5・・・6・・・7・・・!!」
俺は着々と数字を稼ぐ・・・いい気はしなかったがな・・・。

ディスチャージャーも同じ作戦で相手を追い詰め、確実に獲物を仕留めている。
『5機・・・撃破・・・』
「生きている感じのしない声・・・乗っているのは強化人間か・・・」
俺はそんな事を言いながら、敵をブレードで葬って行った。

「残り時間・・・1分か・・・」
俺は時間を確認し、続けて撃破数も確認した。
「こっちは15機・・・向こうは・・・12・・・」

『やはり試作機ではこの程度か・・・』
研究者はそう言いながらこちらを傍観をする。

『制限時間経過・・・残存する敵を排除してくれ』
機関研究者からの通信だ。

俺は命令されるままに残存戦力を片付けた。
「この任務・・・あまりいい気はしなかったな・・・」
敵に同情するのは兵士として失格・・・そんな言葉誰が言い始めたのだろうか・・・。

俺は敵部隊をあらかた片付けると帰還するために元いた地点へ移動しようとした。

暫く移動して、俺はある物を見つけた。

「あの時の・・・教会?!」

俺は醜く潰れてしまったあの時の教会を目の当たりにした。

それを潰していたのは・・・ガードウォーカーの残骸。
そしてそのMTを撃破したのはディスチャージャー。

『ウ・・・アァ・・・』
呆然と立ちすくむディスチャージャー。
「あの機体、やはり人が乗っている・・・?」
戦闘で消耗して早く帰路に付こうとする俺だったが、実験の対象であるあの機体を置いて行く訳にはいかなかった。

「おい、帰るぞ・・・」
俺はそう言いながらディスチャージャーに近づいた。

しかし

『近・・・寄るな・・・!!』
アイツは俺に向けて発砲して来た。
「!!」

エネルギーライフル「カラサワ」・・・
高出力のエネルギー弾を撃ち出すエネルギー兵器・・・。

そのカラサワで攻撃され、シュツルムのエクステンションは損傷、使用不可になる。
「・・・誤射・・・いや、違う・・・アイツは間違いなくこちらを狙って撃ってきた・・・!」

『これは・・・制御ユニットが損傷しているのか・・・修復不可能・・・このままでは・・・!』
そんな中、機関から通信が入る。
どうやらアイツは暴走を起こしたらしく、修復も不可能だと言うことだ。
「・・・つまり・・・奴を倒せ・・・と?」
俺は急に与えられた任務の内容を鸚鵡返しに言った。

『そうだ、今あの機体は此方では制御不能の状態だ、早急に破壊してくれ』
披研対象を易々と廃棄する・・・既にあの機体は用済みと俺は見た。
「・・・了解・・・」
俺はやむなくその任務を受ける。
しかし戦闘を終えた後・・・弾薬も消費し、月光以外に使える回数も限られている。

それでも向こうはお構いなしに攻撃してくる。
相手も同じく消耗している筈・・・しかしまるでそんな事お構い無しだ。

「本当に・・・暴走しているのか・・・!」
俺は懐に入り込み、相手のコアに斬ってかかる。
しかしディスチャージャーはまるで怯む事無く蹴りを喰らわせて来た。
『私の・・・邪・・・魔しな・・・』
ノイズ交じりで相手から通信が入る。
しかし何を言っているのかまでは判らなかった。
「何が言いたい!!」
俺は言い返してやった。

その時だった・・・暴走した原因が判ったのは。
『レイ・・・フォ・・・ド・・・たし・・・何を・・・』
辛うじて聞こえた、聞き覚えのある声。
「まさか・・・シルヴィ・・・」
俺は目の前の状況を疑った。
(何でシルヴィが、あんなモノに乗って、俺に牙を向けているんだ、どうして俺達は戦っているんだ・・・)
これではあの時と同じだった・・・。
ヘレナ姉さんを殺してしまったあの時と。

「どうしたらいい・・・俺は・・・」
俺は迷った、どうしたらいいのか。
そんな中、この場所で以前シルヴィと交わした約束を思い出した。


『私がもし、兵器として戦場に出されるような事があったら、私を殺して・・・』


『そして、亡骸は地上の空がよく見える高台に埋めてほしい・・・』


「どうして、そんな事・・・」
俺は彼女との約束を守る為、再び近づき、月光を喰らわせた。
ディスチャージャーの両腕の武器は吹き飛び、相手の武装は両肩に装備された小型ロケットのみ。

『ね・・・私との・・・束・・・守って・・・る?』
彼女はそう言いながら、ロケットを撃って来る。
既に体の自由が奪われているのか・・・。

「ああ・・・覚えている・・・そしてお前の願い・・・俺が叶えてやるッ!!」

三度の斬撃。

ディスチャージャーのコアと頭部に深く、その傷跡を付ける。
そしてアイツは倒れこむ。

俺はすぐさまシュツルムファングから飛び降り、ディスチャージャーのコックピットへと向かった。
激しい攻撃に、拉げたハッチをこじ開け、そして中で彼女を見た。

「シルヴィ!」
俺は叫んだ。
彼女はシートの上に静かに横たわっていた。
「・・・待ってたわ・・・」
腕等には拘束具を付けられ、頭や首や背中、肩にはコードを繋がれて、既に彼女には以前の明るい面影は無かった。
「ありがとう・・・私を止めてくれて・・・」
俺は悲しかった。
姉さんを殺した時よりも悲しかった・・・。
「どうして・・・お前なんだ・・・」
俺は彼女に問う。
「・・・・焦っていたのね、研究者達は・・・私に要らぬ感情を持たせたくなかった・・・のかな?」
彼女は涙目でそう言った。

「・・・」
俺は黙り込んだ。
「ねぇ、レイフォード、約束を・・・果たして・・・」
別れのときだった・・・。
俺は拳銃を懐から取り出し、安全装置を解除した。
「・・・・最後に一つ・・・馬鹿なお願いしていいかな?」
シルヴィは口を開いた。
「何だ・・・」
俺は彼女の言葉に耳を向ける。
「最後に・・・本当に最後にね・・・地上の・・・空が見たいな・・・」
彼女の最後の願いは「空を見たい」と言うものだった。
「あぁ、判った」
俺はそう言うと、ディスチャージャーのコックピットブロックを取り外し、シュツルムの左腕で丁寧に持ち上げた。
「・・・待っていろ・・・今すぐ見せてやるからな・・・」
俺は地上のゲートへと急いだ。
途中、シティガードに阻まれたが、そいつ等は全てミサイルとスナイパーライフルで墜とした。
ゲートについた時には、既に全ての弾は尽き、既に使える武装は月光一本の状態だった。
「・・・ここを抜ければ、地上だ・・・それまで死ぬなよ」
俺はシルヴィにそう言いながらゲートを潜り、エレベータを昇った。

地上は・・・既に夕方だった。
「・・・地上だ・・・」
俺は地上施設を抜け、空を見上げてそう言った。
「綺麗・・・」
そう言うと彼女は、何も言わずにそっと瞳を閉じた。
「ありがとうね、レイフォード・・・馬鹿な事に付き合わせちゃって・・・」
シルヴィはもう既に虫の息だった。
それでも、最後の力を振り絞って、こうやって俺と話してくれる、それだけでもう十分だった。

「ありがとうね、本当に、ありがと・・・」
そして彼女は何も、喋らなくなった・・・。
「あ・・・あぁ・・・!!」
俺は自分を呪った。
どうして、彼女を助けられなかったのだろう、どうして、死なせてしまったのだろう。
自分が復讐など考えなければ、こんな悲しい出会いなどなかったのだろうか・・・。

答えは出ず仕舞いだった・・・。


―――


「・・・そんな悲しいことが・・・」

スミカは言葉を失う。

「俺は、どうしてこんな事ばかりに巻き込まれるのだろうか・・・変だよな・・・」

レイフォードは下を向きながら、そう言った。

「何で・・・俺は・・・」

彼は再び泣き出した。

「・・・そして俺は機関の施設に戻った・・・しかし・・・既に施設は破壊された後だった・・・」

涙を拭い、無理に話を続けるレイフォード。

「・・・私達がその施設を襲撃したからね・・・」

「そう・・・だったのか・・・」

レイフォードは驚く。

「・・・それからだ、俺は機関での最後の任務を受けた・・・」

それが、彼の最後の昔話だった・・・。

 

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