ARMORED CORE FAN

アーマード・コアファン

ARMORED CORE REVOLUTION MEMORIES > REVOLUTION 2:Song of a man who goes to death

今の私には彼の復讐を手助けしてやる事しかできなかった・・・

でも、私にも私のなすべき事があったから・・・。


―――


「検査の結果、貴方の体内でナノマシンが活動している事が判ったわ」
病院らしき施設の中で二人の男女が話しをしている。

「あの時盛られた奴だろうか・・・」
男・・・レイフォードは静かにそう言った。
「おそらくね・・・でも苦痛の後は何とも無かったんでしょ?」
女・・・スミカは近くにあった椅子に腰を掛ける。
「・・・ああ」
そして彼女は話を続けた。

「どうやら、貴方の体内のナノマシンは本来の目的から外れて使用されたようね・・・」
「本来の目的?」
スミカの言葉にレイフォードは首をかしげた。

「そう、本来は肉体的、精神的増強を図る為に作られたモノよ・・・でも使用時には服用者に強烈な拒絶反応が現れる欠点もあった・・・」
スミカは話を続ける・・・。
「なるほどな・・・その“使用時の拒絶反応”が戦闘中に出たからああなった訳か・・・」
そうなると技術者の言った『バッテリーが切れれば直ぐに楽になる』というあの言葉は嘘になる。
しかし今の彼にはどうでも良かった。

「任務には支障無いんだな・・・」
「ええ、勿論よ」
レイフォードはスミカにそれについての確認をする。
「そうか・・・ならいいんだ」


―――


スミカのガレージ・・・
レイフォードはIDを抹消され、既にこの世に居ない人間になっている。
彼は彼のガレージに帰っては始末が悪くなるだけだった。
そもそも、あの時クロームか機関の人間が死んだとネストに報告して置いたのだろうか・・・。

「で、この間言ってた機関残党だけど・・・ノルトハイランドに潜伏している事が判ったわ」
ノルトハイランド・・・常に雪の降り積もる雪原地帯。
そこは数ヶ月前にスティンガーがファンタズマの試作型で以前スミカの雇ったレイヴンと激闘を繰り広げた場所だった。

「なるほどな・・・クロームか機関の残した施設がそこにあって、残党部隊がクロームとそこで密かに研究をしているって訳だな」
的確な言葉を出し、スミカの言葉を補完するかの如く喋るレイフォード。

「それと・・・良くない知らせも入ってきたわ・・・」
良くない知らせ・・・つまり最悪の事態を想定しろとの意味も含まれている。
「それは?」
レイフォードは問う。
「ファンタズマの試作型がノルトハイランドに運ばれていたそうよ・・・」
それは正に最悪の事態だった。
「幸い、過去の戦闘データは記録してあるから、OSにバックアップして置けば少しは戦い易いと思うけど・・・」

「過去のデータは恐らく向こう側にもあるだろう、しかも問題点を改善されていたらどうなる・・・」

暫しの沈黙が二人の間に流れた・・・。

「だったら、強襲しか無いわね・・・」
スミカはそう言うと格納庫のシャッターを開けた。

そこにあったのは大きな筒の如きモノ・・・
「これは?」
レイフォードはそれを見上げながら言った。
「ムラクモの宇宙開発部門が作っていた固形燃料ロケットよ」

そしてスミカの語った作戦は驚くべきものだった。
本来宇宙船に付けるべきモノをACに装着、ノルトハイランド上空でアーセナルファングを投下し、着地寸前でロケットを点火、施設を強襲。
そして護衛を全滅させ、ファンタズマが出てきたところを一気に叩く作戦だった。

「・・・無茶だぞ」
「ええ、無茶その物よ」
レイフォードの言葉をスミカは即座に返した。
「それに、使用回数はたったの一回ポッキリ、しかもロケットに攻撃を食らえば即座に火達磨よ、気を配らなくちゃ、死ぬことになる」
もはや無茶を通り越して無策無謀としか言い様の無い作戦だった。

「馬鹿野郎!俺にそんな無謀な事できると思うか?!」
レフォードは怒鳴った。
「今の貴方なら出来ると思うけど?」
スミカはあっさりとその言葉を返す。

「・・・」
彼はもう覚悟を決めるしかなかった。


―――


ノルトハイランド上空
『準備はいい?』
スミカが通信機越しに確認を入れる。
「いつでもいい・・・この為に何回シュミレーションしたと思っているんだ」
レイフォードは以前の不安など既に無くなっていた。

『じゃぁ、私は時間差で降下するから、露払いよろしくね』
そう言うと彼女は通信を切る。
『間も無く目標地点に到達する』
スミカに代わって輸送機の機長から通信が入る。
「了解、降下準備に入る」
レイフォードは自らの乗機・・・アーセナルファングをハンガーから降ろす。
太く、大きなそのフォルム・・・。
そして腰には異様に大きく、長い筒のような物体・・・。
その大きく長い形は太っちょなアーセナルのフォルムと妙に釣り合っているようにも見える。
そして輸送機のハッチが開く。
『敵施設のレーダーはまだこちらを捕らえていない筈だ、ヘマをるすなよ』
「了解だ・・・」
カウントダウンが始まる。
『降下10秒前・・・9・・・8・・・7・・・』
ふとレイフォードは懐にしまっていた“ある物”を取り出す。

十字架・・・

目立った装飾も無い古い品であったが、丁寧に磨き上げられた表面から、持ち主がいかに大切にしているかが見て取れた。
「シルヴィ・・・」
レイフォードはその十字架の持ち主の名前を口にする。
これは以前シルヴィから貰った物らしい・・・しかし今では形見となってしまっていた。


『4・・・3・・・2・・・1・・・降下!』
「往くぞ・・・!」

その声と同時にレイフォードはアーセナルを雪の広がる地へと落とした。

 

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