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アーマード・コアファン

ホーム > 小説ギャラリー > 死神と天使第一章-漆黒の中の光 第一話-

5時を過ぎ1本の電車が駅に止まった。貨物運搬用車両が後ろに付いていた。
今では電車というものはなく、モノレールしか通ってないが世間一般では名前などどちらでもいいという評論だった。

電車を降りたものは少なく、俺を含めても数人といったところだ。
駅のホームを出ようとするとき、小さな声が聞こえてきた。
振り返ると、電車の中から女がこちらを見ているのが見えた。
おそらく遠い町から売られてきたのだろう。
最近は企業間の闘争に巻き込まれ、町を破壊されたもの達が売られているという噂をよく聞く。

女はこっちをずっと見続けていた。
その面影は前にいつも見ていた人に似ていた。

しかし、しばらくしてまた振り向き歩き出した。
(・・・彼女はもういない・・・。)
自分に言い聞かせるかのように心の中で言い続け、急ぎ足で立ち去った。

そのまま近くに留めてあった車に乗るとエンジンをかけた。
しばらく車を走らせていたが、車の中でもずっと同じことを考えていた。

一軒の家が見えてくる。
一見すれば普通の家だが車用のガレージから地下にいけるようになっており、地下にはAC用のガレージがある。

ガレージにつき電気をつける。それでもまだ薄暗いガレージの中にはACが2機佇んでいる。
車を中に入れ、おもむろにズボンの中から携帯端末を出す。

-6:37-

左側の電気を更につけ機体の全容が明らかになる。
今では少し年代遅れのパーツばかりだが、美しい流線型のフォルムはどこか一つの芸術作品にも観える。
俺は作業用の階段を使い、ゆっくりとコクピットの中に座り込んだ。
そして、やはりさっきのことを考えていた。
どうしても心の中から拭い去ることができず、その目は電源の入ってない計器を見つめていた。

おそらくあの電車は貨物を運搬の後に出発するはずだ。
このような都市から離れた場所では駅に来る電車など一日に数本ぐらいだ。
5時にここについたとすれば2時間もすれば出発するのであろう。

何も考えずにジェネレーターの電源を入れた。とたんに各計器に光という命が灯る。
そしてラジエーターが静かに回り始めた。
コレが正常に動いていればスーツを着なくても快適な程にコクピット内は保たれた温度だった。
いや、今はそんなことを思う余裕がなかったのかもしれない。

作業用階段を大きな手でどかし、すぐ下にあったライフルを手に取った。
装備はライフルとブレード、両肩用補助ブースターのみという状態であったが、気にする様子もなく出撃用ハッチを開放した。
出撃用ハッチは天井部にあり、家のすぐ横から出るというものである。
すぐさまブースターを吹かし、400km/hオーバーというスピードまで上がる。
凄まじいGがかかるがいつも通り気にならず、ただ数十km先の駅の方を見据えていた。

電車が出発した。時刻は7:12。少しの揺れもなく静かに走り出す。
少女は3人の男に囲まれ、監視されていた。
男たちは時々不敵な笑みを浮かべるが、少女はただ外の風景を見ていた。
外は既に日が落ちただ暗黒が広がっている。
少女の瞳は綺麗な青色をしていたがその暗黒を見据える瞳は黒く、ただ涙が滲んでいた。

大きなクレーターが目に飛び込んできた。
過去にはサイレントラインとも呼ばれ未踏の開拓地となっていた場所だが、今ではただの過去の遺物となっていた。

そのとき、暗黒の中に青い光が見えた。
その青い光は凄まじい速さでこちらに向かってくる。
少女は初め何かと思ったが、すぐにそれがACであると分かった。
暗闇に薄っすらと浮かぶ青い色のボディ、所々に薄く赤く輝く光が不気味であった。

そのACはすぐに電車を追い抜き、数百m先に進行方向を防ぐように立ち止まった。
電車はすぐにブレーキをする。電車はすごい衝撃とともに止まった。
そのため電車内では大きな混乱になった。

赤く輝くカメラアイは電車を見据えていた。
乗客は皆、窓から顔を出しACの方を見ている。
少女もそうだった。

とたんにACの外部音源から声が聞こえる。

「-さっきの女。出てこい。」

車内がざわめき、全員が顔を見合わせる。
少女は自分のことだと思った。−いや、そう思いたかった。
窓から顔を出し、手を振る。しかし明かりの少ない暗黒にはその姿を見えなかった。
すぐに男たちが気付き少女を無理やり車内に入れる。
どんなにもがいてみてもそこから逃げ出すことができなかった。

しばらくしても誰も出てこなかった。
するとACはライフルを路線の真ん中に置き、電車の横を移動し始めた。
ゆっくりと車内を見ながら歩く姿はまさしく恐怖以外の何者でもなかった。

数両目-その中にいた-。
少女はもがき続け男たちが必死に抑えているのを見逃しはしなかった。

「-そこの男共。どけ。」

男たちはすぐに自分たちのことだと分かったが、ここでみすみす商品を出すわけにはいかなかった。
しかし次の瞬間

「-殺すぞ。」

その冷め切った言葉から放たれた言葉はその場を凍らせた。
男たちはその言葉に殺意というものを感じた。
男たちは観念したのか、ゆっくりと少女から離れた。そこにはうずくまっているあのときの少女がいた。

「出てこい女。」

少女は何が起きているのかあまり理解していない様子だったが、窓に大きな左手が迫ってきた。

「出てこい。」

言われたときにようやく理解したらしく、窓枠を全開にし、その手に飛び乗った。

外は少し肌寒かったが、その機体からは暖かい熱が伝わり人の肌のようだった。
そのACはその後何も言わずにライフルを右手に持つと、そのまま来た方向に消えていった。

バニシングドライブ 
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