ホーム > 小説ギャラリー > 死神と天使第一章-漆黒の中の光 第三話-
「ランカーAC B-2 ラウンドクラウン、C-7バイパーサイド、ローリンググレイブを確認!」
(ランカーACが2機もか。そこまでするとはやはり何かあるのかここには。)
距離にして700。レーダーでは確認できないがかろうじて目視できる。
(重量二脚が二機。もう一機は・・・)
その時目標が光ったと思うと一筋の閃光がこちらに来る。
距離はかなり離れているので回避は容易だった。おそらく牽制といったところだ。
後方を確認する。モルルまでの距離は約900。正確な数字は分からんがサイトのロック距離から推測するとそれぐらいだ。
このままここにいてはモルルとの距離を縮められてしまう。そう思いブースターを吹かす。
一度機体を上昇させ、そこからOBを発動。
相手は動く様子もなく、どんどん距離が詰まる。距離は500。ここで相手のACが分かった。
両腕グレネードの重量二脚。
おそらく先ほど撃ってきた
WB15L-GERYON2と右腕にはWH04HL-KRSWを装備した重量二脚。
右にスナイパーライフル、左にマシンガンを装備した軽量逆間接型。
(両腕グレネード・・・こいつがB-2か。となるとカラサワがC-7といったところか。)
ハッキリ言って分が悪かった。しかしこれも仕事だ。引くわけにはいかない。
いや引かない。絶対に。
相手も行動を開始した。B-2とグレイブはOBを発動。おそらく三方からの挟み撃ち。
瞬間、2機が凄まじい速度で俺の機体の後ろに回り込む―
しかし俺の予想は外れた。二機は俺など初めからいなかったかのように一直線に町に向かった。
「!しまった!」
すぐに追いかけようとしたが前から光弾が飛んでくる。
「俺を無視されちゃあ困るんだよ!」
「くっ。」
2機に気を取られていて、C-7が接近していたことに気付けなかった。距離は100近くまで詰まっている。ここは早く打破して二機を追わなくてはならなかった。
しかし、瞬間。
KARURAと連動ミサイルからのミサイルが俺の視界を防ぐほどに飛んでくる。
ライフルでミサイル群の中心を打ち抜く。
一つのミサイルが爆発し、その誘爆によりすべてのミサイルが爆発し、視界がまったく効かなくなる。
ブースターを吹かし後退するが、爆煙からは光の一線が迫る。
「ちっ!」
回避運動をしたが右腕をかすめる。装甲は焼き切れ、CR-E82SS2は焼け落ちた。
「ヒヒヒ!死ね!」
間髪入れず、カラサワの光波が飛んでくる。今度は右腕に直撃。
右腕の重量がなくなった機体は左に傾き、ブースターを吹かすと左側に倒れながらも凄まじい速さで加速する。
ここで通信が入った。−UNKNOWN。おそらくB-2だ。
「何をしている。早くこちらに来い。」
どうやら俺ではなくC-7に出しているようだ。
奴は回線ではなく直接通信電波を飛ばしてきた。
「うるせい。それに俺がここにいたほうがアンタも楽だろ。そこのヒヨッコも。」
軽く鼻を鳴らし自慢げに言う。
「・・・好きにしろ。」
B-2はそこで通信を切った。
急がないとマズイ。おそらくもう近くにいるのだろう。
(くそ!)
そのまま機体を安定させ左肩を前に向けた状態で止まり、OBを発動。
そして通信電波用音源の音量を最大する。
「邪魔だあああぁぁぁ!!!」
その直後OBによる加速。機体が軽くなっているせいか、いつもよりGがでかい。
相手の動きが一瞬止まる。ひるんでいるようだ。
距離がどんどん縮まり・・・20。左腕を前に出し月光から不気味な青い光が出る。
瞬間、光はバイパーサイドのコア上部から頭部パーツを融解。
『野郎!』
カラサワを構える。しかし、頭部が破壊されカメラもレーダーも使えない状況では何にも役にはたたない。
カラサワの一閃を右方向に回避するとそのまま回り込み、後ろからコアを貫く。
機体は内部から爆発をする。ジェネレーターまで貫いたのだろう。
パイロットはその前に脱出したようだったが、そんなことに構っている暇はなかった。
一心不乱にただ、OBを発動させた。
距離が縮まっていく。1000・・・900・・・800。
エネルギー残量など見ていて、見ていないようなものだった。
しかし、モルルまで距離500というところで容量が底をつく。
「動けえええぇぇぇぇぇ!」
大声を上げ計器をいくら叩いてみても計器が火花を散らだけで何も変わりはしなかった。
−瞬間、目の前に赤い光が見えた。すぐにそれが何か分かった。
町は真っ赤に燃えていた。採掘用の大型機械は倒れ、火柱を上げている。
「・・・間に合わなかった・・・のか・・・。」
その瞬間、音がすべて掻き消えたようだった。
無音の世界に飛ばされた俺の頭にはただ、あの時の情景が再び浮かび上がる。
―真っ赤に燃える町。逃げ惑う人間。その中にたたずむAC。
『・・・ヴン。レイヴン!応答してください!レイヴン!カイルさん!』
ハッと現実に引き返される。オペレーターが必死に声を上げている。
「・・・聞こえている。」
オペレーターは胸を撫で下ろしたように安心した声になった。
『レイヴン。作戦は失敗しました。作戦領域内は非常に危険です。ただちに作戦領域より離脱してください。』
―作戦失敗― オペレーターに言われたとき初めて、冷静に考えられた。
(俺は・・・失敗したのか・・・。また誰も助けられなかったのか・・・。また俺だけ醜い醜態をさらすのか・・・。また・・・。)
しかし愕然とするために時間の余裕もあまりなかった。
町は更に炎上を続け、一つの光がこちらに迫ってくる。―ACだ。
流石にこの状況は不利だった。
(チッ)
心の中で軽く舌打ちをすると、
「・・・了解。ただちに作戦領域より離脱する。」
俺は機体を180度転換すると、何もない荒野へと静かにブースターペダルを踏んだ。
話し終えたが彼女は微動だせず、ずっと同じところを見続けている。
「つまり、全ては俺のせいってことさ。」
彼女が何か言おうとするのを抑えるように自分から切り出す。
つくづく自分という人間が嫌になる。
しかし彼女は気にする様子もなく口を開いた。
「・・・そんなことないですよ。あなたは頑張ったじゃないですか。私でもそれはわかりました。だから自分だけのせいにしないでください。」
少し涙目だったがはっきりと俺の目を見て言った。
「・・・私にも分かる?」
「え?」
彼女は拍子抜けした様子で聞き返してくる。そんな言葉を予想していなかったのだろう。
「お前に何が分かる。お前に俺の何が分かる。」
冷め切った眼光で彼女を睨むように聞く。
(俺の何が分かるっていうんだ。頑張った?頑張ったから失敗してもいいということじゃないだろ。そもそもお前に、本当に俺が頑張ったなんか分かるのか。)
そのような思いを相手にぶつけるように、ずっと睨んでいた。
彼女はかなり動揺したらしく、下を俯いてしまった。そして、
「すみません。さっきは軽率なことを言ってしまって。」
やはりそうか。お前に俺のことを知るなんて不可能だ。
「ですけど―」
彼女は少し強い口調になり、こちらをじっと見て言ってきた。
流石にこれには少し驚いたが、そのままの勢いで話を進められる。
「ですけど、あなたがあの町を守ってくれようとしたことには変わりありません。結果的にはああなってしまいましたが、私は感謝しています!」
そこまで言い終えると深呼吸を一つ入れた。かなり気合が入っていた。
彼女の言いたいことは分かった。とりあえず感謝しているということ。
そしてここで何かをやらかそうとしていること。
「・・・それでお前はこの先どうする―」
俺が言い終える前に彼女は大きな声で言った。
「だ〜か〜ら〜!ここに住む!住むったら住む!」
・・・かなり強引な女だった。今更になり何故助けたのか本当に分からなくなった。
しかし彼女の目から察するに、住ませなきゃヤケを起こす。と言ってる。
「ふううぅぅ」
俺は少し大げさにため息をつくと、降参した兵士のような気持ちで言った。
まさしく半分諦め。半分死覚悟。極限状態だった。それほど彼女にはプレッシャーが漂っている。
(いったいコイツは何をしてたんだ。)
少し考えてみるが分かるはずもなく、すぐに考えるのをやめた。そして、
「・・・分かった。好きにしろ。」
それを聞くと大変嬉しそうな顔し意地悪そうな声で
「ようやく分かってくれた?初めからそうしてくれればいいのに。好きにしろって言ったのはそっちなんだからね。」
今更になり、本当に心底後悔した。
かくして自分が招いた幸い(?)からこの女と住むことになった。
ラウンドクラウン
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バイパーサイド
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ローリンググレイブ
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