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アーマード・コアファン

ホーム > 小説ギャラリー > 死神と天使第一章-漆黒の中の光 第五話-

20分程で近くの町「ケルー」に着いた。そのまま町の中にある少し小さめの店の前で止まる。
小さめの店の方が実は安かったりいいものがあったりするのだ。
俺は座席を倒し、寝ようと思ったのだが
「荷物多くなりそうだし手伝ってよ。男でしょ?」
運転席側の窓の向こうからニコリと微笑みながらサラリと言う。
どうも何を言っても無駄そうなので、渋々車から降りた。

店内に入ると数人の客と店員。やはり女ばかりだ。当り前なのだが・・・。
俺の思考など気にする様子もなく、どんどん店内の奥に入っていく。
(・・・別に俺がいなくてもいいんじゃないか?)
そう思い静かに店を出る。フリアは気付いてないようで服を夢中で眺めている。
気付かないことを確認すると、そのまま、町の中に歩き出した。

しばらく歩くと町の端にきた。しかしそのまま路地裏に入ると一軒の店がある。
俺が大体のパーツを買っているAC用のパーツショップである。
少し古ぼけた木製の戸を開けると、「極み」と書かれた店の看板が揺れる。
店の中は昼間でも薄暗く客もいない。そこは一見バーのようにカウンターがあり、酒も置いてある。
カウンターには誰もいなく店内は静まりかえっている。

椅子に座り、カウンターの下にあるボタンを押す。インターフォンみたいなものだ。
するとすぐに奥からラフな格好をした中年の男が出てくる。歳は聞いてないが髪が少し後退しているところを見ると40〜50というところだ。
「久しぶりですねえ、カイルさん。この店もあなたが来ないとてんでお客がいなくて。」
とても優しい笑顔で語りかけてくる。数少ない俺のよき理解者だ。
「・・・いつものを頼む。」
「ありがとうございます、毎度。」
そういうと、後ろにある酒ではなくカウンターの下にある一つのボトルを取り出す。
酒ではなく水だ。しかしただの水ではなく、コイロスという場所の地下水脈から掘り出したもので、ほのかに甘みと酸味がある。
俺はこれが気に入っていて、冷蔵庫の中身もすべてこれだ。

ボトルとグラス、それに数冊の本を一緒に俺の前に出す。
グラスに水を酌み、ゆっくりと飲みながらカタログを広げる。
ミラージュのカタログをまず見てみる。やはりシェアNO.1ということだけあり新パーツも目立つ。
得に目的があったわけではないが、機動力より火力を上げたい。
最近高機動に慣れてきたこともあって、それほど速度が出ていなくても相手の攻撃を避けられるようになってきた。
アサルトライフルは連射速度に優れるが、その分単発の威力に欠ける。
そのためのMOONLIGHTだが、近接戦闘に持ち込めない場合もある。
しかし、あまりめぼしいものが見つからなかった。

次にクレストのカタログを見てみる。正直、クレストの商品はあまり買いたくなかった。
個人的にクレストのやり方は気に食わないので、いい印象がないのだ。
しばらくカタログをめくっていると一つのパーツが目に付いた。

CR-WR93RL。

威力もスナイパーライフル並みで発熱量が高い。
前に出た商品ではあるが、最近になり技術革新や生産などの状況からパフォーマンスが見直された商品なのだ。
バニシングドライブもそうだがワイルドファングもある。買っておいて損はないだろう。
クレスト製というところが少し気を引いたが、そんなことも言ってられない。
そう思い注文用用紙に数1と書き込む。

最後にネイルズのカタログを見る。ECMメーカーなどが新発売したようだ。
ここで目に付いたのがNB12W-WINGである。
これは丁度WB10R-SIREN2が両肩用になったような形をした、両肩用のレーダーである。名前の通り翼のようである。
今使用しているH11-QUEENはレーダー性能が極めて低い。
その他の性能は高性能を維持しているのだがこれが唯一にして最大の欠点だ。それを補うには十分だ。
両肩用だが、重量も軽く、消費エネルギーも気になるほどではない。
レーダー範囲も2000と最大範囲、ECM性能もかなり高い。
これはいいと思い値段を見てみる・・・345000c・・・345000c!?
思わず二度見してしまう。驚くほど高い。
確かに近年レイヴンの仕事が増え、利益が上がっているにつれ価格も比例するように上がっていることは承知の上だが・・・この値段は・・・。
出せない数字ではないが、ここで出して今後仕事が入るかという問題がある。
レイヴンは仕事をしたくても、仕事を依頼されなければどんなにしたくてもできない。
ため息を一回吐き、水を一杯飲む。
(さて、どうしたものか・・・)
しばらく迷っていると主人が話しかけてくる。主人といっても結婚はしてないようだ。
「何かいい商品はありましたか?」
いつもの笑顔と優しい語り口調である。
「・・・これなんだが・・・」
俺はこの商品に指をさす。主人もそれを見ると一瞬驚いたが、すぐにいつもの顔になり
「これは確かにいい商品ですねえ。でも、値段が高いっていうんですね。」
俺の考えていることはお見通しといった感じで言ってくる。まさにその通りだが。
「おや?カイルさん。CR-WR93RLを買ってくださるんですか。」
「・・・そうだが?」
何故そう聞かれたのか不思議に思ったが、すぐに分かった。
俺はあまりクレスト製の商品を買わない。だからだろう。それ程珍しいことなのだ。
「これも118000cですから合わせると・・・463000cですか。流石にこれは大きいですねえ。」
「・・・」
確認するとこれも結構な値段だった。
「じゃあこうしましょうか。」
何か閃いたという感じで明るい声で言った。
「463000cですけど、400000cにまけておきます。これでどうですか?」
「何?」
400000cなら63000cも安い。これはかなり大きい。主人は当然のごとくニコニコしている。
「・・・本当にいいのか?」
少し心配になって聞いてみるが
「ええ勿論ですとも。
それにうちはカイルさんのおかげで成り立っているようなものですから、カイルさんに買ってもらわないと困るんですよね。」
ちょっと苦笑いをしながらそう言った。
「・・・いつも悪いですね。」
「いえいえ。お互い様ですよ。」
お互いに軽く笑いあい、俺は注文用紙を主人に渡した。


店から出て、また車に向かって歩き出す。
主人の話では在庫があれば今日にでも届けてくれるそうだ。
車に戻り、辺りを見てみてもフリアが車に戻っった形跡はない。
30分ぐらい経っただろうに・・・やはり女は買い物の時間が長い。
車のある位置から店を軽く見てみる。すると、レジで困惑した彼女がそこに立っていた。
(何してるんだアイツは。早く戻ってこい。)
そう心の中で思っているとフリアと目が合う。やっと気付いたかと思うと、彼女は必死にこっちに手招きをしている。
荷物を持てということなのだろうか。だが、ここで行かないとまた五月蝿くなりそうだ。
そんなことを思いながらゆっくりと店に向かって歩き出す。

店内に入りレジにいる彼女に話しかけようと思った瞬間、
「何してたの!?馬鹿!」
何故かすごく怒っている。これは俺のせいなのか?と思っていると
「お金はアンタが持ってるんだから、アンタがいなきゃ買えないでしょ!」
相当怒っている様子だった。長い時間この状況だったのだろう。
・・・そういうことか。確かに端末は渡そうとしたが、一人じゃ無理だとか言って結局俺が持ってきたのだ。
さっきもコレで支払いをしたばかりだ。
「遅れてきた罰!+10000cね!」
と言った途端、俺の端末を奪い取り勝手に精算を始めてしまった。
随分の数の服がそこには置いてある。しばらくは大丈夫な量だ。
1つずつ値段が読まれていき、合計金額が出される・・・59780c・・・。
(・・・数を変えてないのだから初めからこうする気だったのか・・・?
細い目でフリアを見てみても、
「・・・何よ。何か言いたいことでもあんの?」
・・・目が座ってる。何を言っても無駄のようだ。
さっき63000cも引いてもらったが、これでほとんどチャラだ。
更に荷物持ちまでさせられる。俺のことなど気にする様子もなく、軽い足取りで車に向かって歩き出す。

やっとの思いで車に荷物を置き終えると、時間を確認する。―9:01
丁度いい時間ではないが、特に予定もない。そのまま車に乗り、エンジンをかけようとするが
「ちょっと!これだけで帰るつもりなの?せっかくきたんだからお茶ぐらい飲みましょうよ。」
と、俺の返答など聞く前にまた町の中に入っていく。
どこまでも勝手な女だ。小さくため息を漏らすと、仕方なくフリアが入っていった店に向かった。


NB12W-WING
重量 650
消費EN 620
対ECM性能 450
レーダー距離 2000
レーダータイプ 円形
スキャン間隔 1
ミサイル表示機能 搭載
生体兵器表示機能 搭載

ネイルズ製パーツの十八番。ACが装備するレーダーとしては最大範囲の広範囲レーダー。
両肩装備となっているが重量も軽量に仕上がっているため、蓄積量と消費ENに余裕があれば、これ一択でも十分な高性能パーツ。

 

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