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ホーム > 小説ギャラリー > 死神と天使第一章-漆黒の中の光 第六話-

店に入ると既にでかいチョコパフェを食べているフリアの前の席に座る。
するとすぐにウェイトレスが俺の横に来る。
「いかがなされますか?」
特に長居するつもりもなかったので、コーヒーだけ注文する。
注文用端末にペンタッチして入力を終えると、軽く会釈をしてカウンターの方に歩いていった。
「なかなか美味しいねえ、これ。」
凄い勢いで食べているフリアを見る。女性ならもう少しぐらい綺麗に食べてもらいたいものだ。
そう思っても、何をしても意味がなさそうなのでただ呆然とその光景を見ていた。
チョコパフェが半分ぐらいになったところで、コーヒーがきた。
コーヒーをゆっくりと飲みながらフリアをなんとなく見てみる。
青い目が印象的で、短い金色の髪と妙に合っている気がする。
いやそう思いたいだけなのかもしれない。
彼女と印象が同じだったからか・・・。

しばらくフリアを見ていたが、そのことに気付く様子もなくただパフェを食べている。
俺がコーヒーを飲み終え、しばらく外の風景を見ている。
―数分後 パフェを食べ終えたフリアはとても満足そうな顔をして俺の方を見てきた。
「いやあ美味しかったね、ここのパフェ。また来ようよ。」
さっきのことなど既に忘れたようで上機嫌で席を立った。
レジで会計を済ませ店から出ると、いきなりフリアが俺の腕に抱きついてくる。
「買い物もしたし、美味しいもの食べたし!帰りますか!」
「・・・それはいいが離れろ。」
俺は腕を解こうとするが、更に強い力で抱きついてくる。
「いいじゃん別に!何?それとも照れてんの?」
またこの悪魔の微笑だ。もう既に、何を言っても無駄だということを知っているのでそれ以上何も言わなかった。しかし、次の瞬間
「アレ?隊長殿じゃないですか。いえ、元隊長殿とでもお呼びするべきでしょうか?」
見ると、男が一人軽く笑みを浮かべながら片手を挙げている。
「え?隊長殿って?」
フリアがすかさず聞いてくるが
「お前には関係ない。」
と鋭い眼光で睨みながら言い返した。
「何よそれー」
かなり不満そうでほっぺたを膨らませてみせるが、そんなこと関係ない。
男は俺と1mという距離まで近づき
「久しぶりですねえ〜隊長殿。もう2年ぶりぐらいですかい?」
軽い、俺をなめきったような態度で聞いてくる。
「・・・俺はもう隊長じゃない。お前にそう呼ばれる筋合いはない。」
男の目を睨みながら言い返す。
「お〜お〜怖い怖い。無愛想な心のせいで、何人の仲間が死んだんだか・・・。」
「・・・」
言い返しはしなかったが、ずっと男を睨み続けていた。
男は軽く鼻で笑うと目線を少し落とし、フリアの方を見てくる。
「ふ〜ん・・・隊長の新しい女ですかい?」
ジロジロと体を舐めまわすような目でフリアを見てくる。
「何よ。何か言いたいことでもあんの!?」
俺から腕を振り解き、いつもの強気の口調でフリアが言い返すが
「こりゃまた隊長に似て怖い女だ。」
少し引いて、大げさに手を左右に振りながら言う。
「・・・お前には関係ない。」
俺が男に言うが
「もうその女も食っちゃったんですかい?随分美味しそうですけど?ヒヒヒ。」
気持ち悪い笑い方をしながらフリアを見てくる。
フリアも相当嫌ならしく、俺の後ろに回りこんでしまった。
俺は小声でフリアに話しかける。
(・・・帰るぞ。)
(え?でも・・・)
俺は半ば強引気味にフリアの腕を引っ張り、車の方に向かって歩きだした。
「おや、隊長殿お帰りですか?それともまたその女とやるんですかい?ヒヒヒ。」
男の言葉などすべて無視をして早足で車に向かう。
「あ!そうそう!隊長殿!俺もランカーになったんで、そのときはお願いしますよ!ヒヒヒ。」
随分距離が離れたが、大声でこちらに言ってきた。
強引にフリアを助手席に入れると、運転席に乗り込みエンジンをかけた。

車の中でもフリアはさっきの男のことについて一人でブツクサ言っている。
俺は聞いていたが、聞いてないふりをしていつもより早い速度で車を走らせる。
家につき、荷物を降ろすと既に時間は10時を回っている。
金を払いすぎたせいかいつもより疲れた気分だった。
ソファにどっと座り込み大げさにため息を出す。しかし、間一髪入れずに
「ねえ。私の部屋どうにかしてよ。いつまでもあなたの部屋なんて勘弁してもらいたいわ。」
それは俺から言いたいことだった。いつまでも自分の部屋に他人を入れたくはなかった。
「あなたの部屋のむかいの部屋。あの部屋空いてるんでしょ?ならそこでいいじゃん」
「・・・あの部屋か・・・」
「なんかあるの?」
「・・・いや」
少し気が引けたが仕方がなかった。
自分自身でも分かっているつもりだ。
いつまでも引きずり続けるのはよくないと。
そう思うとソファから静かに立ち上がり、2階に上がった。
俺の部屋の向かい側にその部屋がある。空けると、そこには今は使われてない家財道具が置かれている。
俺より先に部屋の中に入ったフリアは中をジロジロと見ながら
「何でこんなに揃ってんの?誰かここに住んでたの?」
不思議そうに首を傾げながら、部屋のカーテンを開ける。
すると眩しいぐらいの光が沢山入ってくる。フリアの質問には答えず、中を整理し始めた。
久しぶりに見たが、前と変わらない様子で少し安心した気がした。
部屋の中にはタンスと机、それに少し大きめのベッドが一つ。
自分の部屋はあまり掃除しないが、この部屋は時々しているのでとても綺麗な状態だ。
その時俺の心の中にまた一つの疑問が生まれた。
(この部屋に本当にコイツを入れていいのか?彼女ではない。だが、彼女はもういない。)
俺の悩んでいることなど知らずに、フリアはどんどんさっき買ってきた荷物を中に入れていく。
「じゃあこの部屋使わせてもらっていいんだね?」
「・・・」
(彼女はいないんだ。過去のことは忘れたほうがいい。忘れた方が・・・。)
「・・・ねえ。ねえ!聞いてる?」
ハッと気付くと目の前にはフリアが上目遣いでこっちを見ている。
「あ、ああ・・・。」
「それならいいんだけど。なら今からここは私の部屋ね!」
と半ば強引気味に俺の思考はどこかへ飛ばされた。
「じゃあ着替えたりするし出てってくれない?」
そう言うと俺の背中を押し、強引に外に出されてしまう。
しばらく部屋の戸を見ていたが、これ以上何かを考えたくなかった。そんな気分だった。

 

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