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ホーム > 小説ギャラリー > 死神と天使第二章-過去のしがらみ 第一話-

バニングドライブとはブースター速度が違いすぎ、今現在270も出ていない。自分としては非常にゆっくりとしている気がしたが、フリアはそうでもなかったようだ。
「ねえ・・・なんか凄く速くない?400ぐらい出てるんじゃない?」
「・・・268だ。」
「うそ〜?ん・・・本当だ。」
やや前傾姿勢になり俺の肩から顔だけのぞかせ速度計を見ている。また背中に暖かい感触がする。
それと同時に何か甘い匂いが俺の鼻を刺激した。
「私は重量系の機体に乗ってたからすごく速く感じるだけど・・・なんかちょっと怖いかも。」
すると肩を少し小さくして後ろでおとなしくなってしまった。これからこの機体に乗るというのに今からこの調子で大丈夫なのだろうか。

その後は特に会話もすることなく、1時間半ぐらいでアークの本社ビルについた。ACを専用のガレージに固定するとコクピットを開けた。
「ふあ〜やっぱり外の世界は広いなあ〜。」
コクピットからさっさと降りたフリアは外で大きく伸びをしている。
何を言っているのだか。まるで初めてレイヤードから地上世界に進出してきた人間のような感想だ。いちいちそんな事を思っているのかコイツは。
表口から自動ドアを抜け、中の広いロビーに入る。ロビーには受付嬢が二人いる。
「・・・ACの登録内容変更をしたいのだが。」
「かしこまりました。ではそこにある端末よりアクセスをお願いします。」
綺麗に手をそろえて示した先には端末が10台はある。その内の一番近くにある端末の椅子に腰を下ろす。
―ピッ
『レイヴンズアークへようこそ。どうされますか?』
端末からはガイドの女性の声が聞こえてくる。端末の画面表示には新規登録・登録内容変更・登録削除・サポートとある。登録内容変更に指でタッチすると画面が進んでいく。
『登録内容変更でよろしいですね。それではAC形式番号と登録コードをお願いします。』
(形式番号・・・)
ポケットから携帯端末を取り出すとそのまま画面に形式番号・コードを表示させ、それを端末の入力用のリーダーに向けた。
―ピッ
『AC形式番号 R12-5485 登録コード kill029536 確認しました。AC名 ワイルドファング 登録レイブン kill ガレージ番号D−21に格納中 以上でよろしいでしょうか?』
画面のYESをタッチする。
『それでは新しい登録コードとAC名、登録レイヴン名をお願いします。』
俺が椅子から立ち上がると、入れ替わるようにフリアが椅子に座る。そして慣れない手つきでキーボードで入力をしていく。待つこと数分・・・
『新規登録コード bright02E47 新規AC名 スターライト 新規登録レイヴン名 ブレイブ 以上でよろしいでしょうか?』
フリアは少し満足気な顔をしてYESを押す。
(星の光・・・しまいには勇ましいか。)
確かにフリアにピッタリといった感じだ。自分でブレイブの意味を知っているのだろうか。現在では女性のレイヴンも珍しくもないので変な目で見られることはないが、やはりまだ舐められるということがあるのだろう。トップランカーまでいけばそういうことはないだろうが。意図的にこういうRNにしたのか、知らないのかは分からない。
端末から出てきたカードを持つと一人で次の端末のところへ行ってしまっていた。後を追いかけその画面を見てみると、既に新しい携帯端末を購入してしまったようだ。どうやらアークにおいてある端末だとかで、すぐにでも手に入るらしい。とっとと手続きを済ますと今度はさっきの受付嬢のところへ。
「新しく端末を買ったんですけどどこにおいてありますか?」
2人揃って綺麗に一礼をすると右側の女性が
「ご購入ありがとうございます。商品のほうは3階の展示場に在庫がありますので、そこでお受け取りいただけます。」
「ありがと。」
それだけ言うとまた一人でエレベーターの方に早歩きで行ってしまう。俺はいなくてもいいんじゃないかと思っていたが
「ちょっとー何で止まってるのー!?早く行くわよー!」
とエレベーターの戸を開けたまま、片手でこちらに手招きをしている。渋々エレベーターに乗り込むと数秒で3階まで着いてしまう。
3階には商品がズラリと沢山並んでいる。見たところアークではなくナービス社やネイルズ社の製品が目立つ。はやり企業の方がコストや性能面では勝っているのは明確だ。やはりアークの力が弱っていることがこんなことからも分かってしまう。
フリアは従業員と思われる人にカードを渡し、その従業員の方についていった。
そして個室から出てきたフリアが持っていたのは小さめの段ボール箱。
「じゃあ行こっか。」
「・・・ああ。」
今度は俺の歩幅に合わせるようにピタリと俺のすぐ横を歩いてくる。エレベーターのボタンを押したはいいが、しばらく待っても一向に来る様子がない。仕方がないので階段を使うことにした。
2階に降りると受付らしいところに男が一人いた。いやアイツは―
「アレ?また会いましたねえ隊長殿〜。隊長もアリーナで昇格でもしたんですかい?」
ここはアリーナの登録所らしい。ここで対戦表を組んだりしているのだろうか。
「実は昨日D-6になったんですよ〜。いやあ〜案外楽な相手でしたよ〜ヒャハハ。」
D-6になったということはコイツがあの時のD-7だったというわけか。コイツのせいで町も俺の機体も壊されたというわけか。コイツが・・・
「またその怖い目ですか〜まいったまいった。じゃあ私はお邪魔みたいですし、さっさと退散させてもらいましょうかねえ。」
俺は知らずうちにアイツを睨んでいたらしく、それだけ言い残すと駆け足で階段を降りていった。
「・・・」
「・・・え。ねえ。」
俺の腕を小突いたフリアが心配そうな顔をして俺の方を見上げてくる。
「・・・行くぞ。」
俺はアイツと絶対に会わないようにとゆっくりとした足取りでガレージまで歩いた。

 

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