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ホーム > 小説ギャラリー > 死神と天使第二章-過去のしがらみ 第三話-

『隊長!敵機を確認しました!すごい数です!』
その声には少し恐怖というものが感じられ、少し震えているようだった。
皆今までと違い急なことに少しパニックになっているようだ。
もしかしてこれが狙いだったのかもしれない。
ただでさえ力量の低い素人を混乱させれば撃破など容易なものだ。
まさに少ない戦力で攻略するには一番いい手だったのかもしれない。
『隊長!隊長!うわー!』
見ると爆撃機からは無数のミサイルが。ゆうに50はあるであろうミサイルが一点に向かって発射される。
その先には一機のACが。
「!避けろ!オルダー!」
『うわあー!』
直後に悲鳴と爆発音が聞こえる。50以上のミサイルを一度に食らえばACといえどその装甲は一瞬で吹き飛んでしまった。
そのままの速度で爆撃機はこちらに飛んでくる。
『β−3撃破されました!』
オペレーターが報告をするが、そんなことは言われなくても分かっている。
「エイブルよりチームへ。各機、爆撃機からの攻撃を回避。できる限りの迎撃を展開せよ。」
『了解!』
全員ではないが返事があった。既に放心状態の者もいるだろう。
しかしそいつらをかまってられる程こちらにも余裕はなかった。
爆撃機との距離が800まで縮まる。突如として爆撃機から無数の白煙が上がった。
マイクロミサイルとヴァーチカルミサイル(打ち上げ式)を積んでいるようだ。
ヴァーチカルミサイルが基地上方まで来ると急に方向転換をし、こちらに向かって下降してくる。
視界にはただ白煙しか映らなかった。
「ちっ!」
自然と出た軽い舌打ちなど気付く程余裕がなかった。俺は基地より後退しながらミサイルに向けてライフルを撃ちこむ。
しかし性能が悪く、連射速度がかなり遅い。おまけに銃身が歪んでいるのか弾は真っ直ぐ飛ばない。
俺は肩に装備してある小型ミサイルと左腕にあるブレードをパージすると、そのままの場所に止まる。
ミサイルが上空よりこちらに迫る。距離30というところで右方向に急加速。
体にGがかかるが機体構成からあまり速度は出ない。ミサイルとブレードを捨てたがあまり変わりは無かったようだ。
ミサイルは俺の機体があった場所に次々に突撃し、爆煙を上げる。
基地の外は一面が砂漠となっているので爆発により機体に無数の砂が降り注ぐ。
それが凄まじいノイズとなり、レーダーが一瞬映らなくなる。やはり量産型は性能が悪すぎる。
その後も前方向・左方向などに移動し、ある程度のミサイルを避けるが2発程被弾したようだ。
しかし既に左腕の損傷率は40%を超えている。
爆撃機の攻撃がやんだ。どうやら第一波を突破したようだ。
「オペレーター!状況報告!」
『はい!えっと・・・第一波爆撃によりβ−2、β−3、α−2が撃破されたもようです!』
「残りは俺を入れても5機か・・・。」
と言ってもおそらく損傷がない機体がいるはずがない。基地上を見るとACが2機佇んでいる。
「エイブルよりチームへ。おそらく敵は基地と我々を狙ってくると思われる。
基地より散開し近くにいるものと2機小隊を組め。その後は各自判断に任せる。」
『了解!』
レーダー上の機体が動きを始める。基地上の2機−おそらくファルイとルイバル。
基地より離れた位置にβチームのバンとダルインが小隊を組んだようだ。
当然2機小隊なので5では割り切れるわけもなく俺は1人の状態だ。だがそれでいいのだ。
連帯感という安心は不安定な心理状態にはとても大事で必要なことであった。
技術的にはおそらく俺が一番マシなはずなので他のものを優先されるべきであったのだ。
『爆撃機より第二波きます!』
上空を見ると更にミサイル群がこちらに向かってくる。
「来るぞ!各自回避行動!」
今度はマイクロミサイルが飛んでくる。
『どうもフルコース料理を頼んじまったみたいだな。』
とルイバル。まだ冗談を言うだけの余裕があるのか、苦し紛れの冗談なのかは俺には分からなかった。
俺はブースターを吹かし右方向に移動する。俺の動きに合わせて動くミサイルの数はおよそ15〜20といったところだ。
おそらく爆撃機各機が目標を持って攻撃をしているのだろう。
その他のミサイルも他の機体の動きに合わせるように進行方向を変える。
しかしただ一つの群だけ方向を変えずにこちらに向かってくる。
おそらくこれが本命であり、基地を狙っていると思われる。
これを直撃させるわけにはいかない。
機体をそのまま左方向に向け、上空へと飛び立つ。内部機関が悪すぎるせいかすぐにオーバーヒートを起こす。
一度地面に降りると、また上空へと飛び立つ。俺をロックしているミサイルも合わせると、目の前にはゆうに40ものミサイルが。
既にエネルギー残量はレッドゾーンだが、そんなことは言ってられない。
「この距離ならば―」
そのままの高度を維持しながら目の前のミサイルにライフルを一発撃ちこむ。
視界にはただミサイルのみ。距離にするとすれば15。弾はミサイルに当たり爆発。
予想以上の爆発に周りのミサイル群も誘爆。機体に物凄いGがかかる。
「ぐ・・・」
そのまま機体は地面に叩きつけられる。
エネルギー残量がないためブースターを吹かすことができず、もろに衝撃を受けてしまう。
脳みそが揺さぶられ、一瞬頭の中が真っ白になる。次に気づいた瞬間には機体の後方にて爆煙が上がっていた。
おそらく先ほどの急降下に誘導しきれずにミサイルが機体を通りすぎたのだろう。
『隊長!うわあー!』
突如通信が入ってくる。しかしそれは通信というものではなく、ただの断末魔にしか聞こえなかった。
『β−1、β−4の撃破を確認!残りは3機です!』
つまり残っているのは俺とファルイ、ルイバルの3人だけだ。
『!敵爆撃機の後退を確認しました!』
「何だと!?」
見ると爆撃機はそのまま進行方向を帰ることなく、元来たところに戻っていく。
「終わったのか・・・?」
ほっと肩を撫で下ろす。これで終われる。そう思ったのだが
『!新たな高熱原体を確認!これは・・・MTです!』
「何!?」
爆撃機が消えていく上空に確かにそれはあった。
それは爆撃機以上に黒く大きく、不気味な雰囲気を出していた。
初めてその時“死”という言葉が俺の頭の中を過ぎった。

 

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