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ホーム > 小説ギャラリー > 死神と天使第二章-過去のしがらみ 第四話-

『機体コードを解析・・・おそらく旧世代に造られたMT、“グレイクラウド”と思われます。』
何年前のMTだ。おそらくゆうに100年は経っているはずだ。この名を知っている人間の方が少ないのではないのだろうか。
しかしそんなにも長い月日が経ってもなお正常に活動できるとは思えない。
一体どこの企業がこのようなことをしたのだ。
しかしそんなことを考えている暇など俺にはあるはずもなかった。
突如として、黒いものから無数のミサイルが飛んでくる。
『今日はいつものミサイルの回避訓練よりマシな訓練ができそうだ。』
とまたルイバル。しかし、声はかすかに震えている。
おそらく先ほどの言葉も自分の恐怖を拭い去るために言ったものだったのだろう。
ミサイル群はまっすぐこちらに向かってくる。流石に今の状態で直撃を食らうと、撃破は間逃れない。
『敵は標準であればミサイル・連装グレネード・オービット等を装備しています。十分に気をつけてください!』
「気をつけて・・・か・・・。」
気をつけてどうにかなる問題ではないことは分かりきっていた。
「ファルイ!ルイバル!分かってるな!?ここを是が非でも回避。生き残るぞ!いいな!?」
『り、了解!』
『了解!せいぜい頑張ります。』
3機はその場を散開し、基地からドンドン離れていく。目標を分散させ、相手に極力攻撃をさせないためだ。
ミサイルは確か16連発。
しかしミサイル群は俺の方向には来ず、綺麗に2つに分かれるとファルイ機・ルイバル機に方に向かっていった。
「しまっ―」
俺が言い終える前にモニタに“LOOK ON”の文字が。見ると、小型兵器がこちらに飛んでくる。
それはすぐにオービットと分かるが、気づくのが遅すぎた。
オービットからはレーザーが連続で発射され、機体の装甲を滅していく。
機体を後退させるが速さがあまりに遅すぎ、ほぼすべての弾が当たってしまった。
そのため損傷率は40%を超え、左腕は既に限界まできている。
この機体では避けることも、装甲にて耐えしのぐこともできないのだ。
俺と違い二人は順調にミサイルを回避し空中に浮き上がる。しかしそのまま上空に上がっていってしまった。
「!馬鹿野郎!相手はグレネードを装備しているんだ!むやみに空中に待機するな!」
俺が言ったときには既に遅かった。黒い塊からは8発のグレネードが連射される。8発とも一機のACに直撃する。
『ぐお!』
この声はルイバルだ。続けざまにグレネードがまた8発ルイバル機に直撃する。直後、ルイバル機のコア部から爆発が起こる。
『す、すみませんたいちょ―』
通信が途切れる。ルイバル機は炎を上げ地上に落下した。
そのまま機体は炎上を続け、中から人が出てくる気配はまったくない。
『α―2撃破されました!』
「くそ!」
『ルイバル!ルイバル!おい!ルイバル!』
ファルイが通信を入れるが返ってくるはずもなく、通信機からはただのノイズしか聞こえない。
『敵機、なおも接近!』
「おい!ファルイ!大丈夫か!?」
ファルイ機はそのまま自由落下すると、炎を上げているルイバル機に近づいていく。
「おい!ファルイ!聞いているか!?ルイバル機は撃墜されたんだ!いいか!?」
ファルイ機の動きが止まる。そして―
『くそ!くそおおー!』
突如としてファルイ機は方向転換をし、ライフルを捨てると“それ”の方に移動し始めた。
「おい!待て!ファルイ!」
俺の制止など聞こえていないようでそのまま上空に飛び立つと、肩部から小型ミサイルを1発発射させた。
高度の違いからミサイルは正面に当たることはなく、右底部に当たってしまう。
そのままファルイ機が高度を上げていくと“それ”からはまたもやミサイルが飛んでくる。
しかしそのままの速度で向かっていくファルイ機。
―次の瞬間、ファルイ機から1発のミサイルが発射される。と同時にファルイ機に16発ものミサイルが直撃する。
『あ・・・エル―』
ファルイ機は空中にて大爆発を起こした。おそらく装甲が耐えられなくなり内部機関に引火し爆発したのだろう。
「ファルイ!」
返ってくる返事はやはりノイズのみ。頭の中は雑音ばかりで気持ち悪くなる。
“それ”はファルイ機の爆発によりバランスを崩す、しかしすぐに体勢を立て直すと今度は俺の方に向かってくる。
『エイブル!残っているのはあなただけです!すぐに撤退を―』
俺は五月蝿い通信機のコードを引きちぎった。すると中は不思議と静寂に包まれた。
ふとモニタを見るとそこにはルイバル機のライフルが。
ライフルを左腕に装備すると、肩レーダーをパージした。
「ふう〜・・・」
大きな深呼吸を一つ入れると俺は、右側の計器類の中にある一つの赤いボタンを思い切り叩いた。
『ザザ・・・ジェネ・・・ッター・・・確認しまし・・・ザザ。』
それを聞くか聞かないかのタイミングで俺は“それ”に向かって突撃をした。
そのまま上空に飛び立ち“それ”との距離はドンドン縮んでいく。
機体内温度は限界を示しているが、エネルギー残量はまったく減っていない。
俺はジェネレーターのリミッターを解除したのだ。
一時的に無限に近い出力を出すための最終手段だ。
これをやったら最後、ジェネレーターが正常に動くとは思えない。
俺の機体が高度を上げるたびに“それ”の高度も上昇していく。
そして俺が丁度“それ”の真下にきたとき、俺は左右のトリガーを同時に引いた。
狙う場所はただ一つ。ファルイ機が爆発した際にできた右底部の損傷箇所。
「当たれー!!!」
俺はロックを外した状態で撃っているのでうまく当たらない。
ロック状態だと精密に攻撃位置を定めることができないからだ。
しかし数発がうまい具合にブースター部に直撃。そのまま爆発する。
「ぐ・・・!」
ミサイルの爆風などより何倍も大きいGが襲う。モニタには何も写ってない。
見ると“装備不完全”の文字が。頭を持っていかれたようだ。
次の瞬間背中にもの凄い衝撃が走る。
俺の記憶はここで切れた。
次に気づいた瞬間、目の前は真っ白だった。

 

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