ARMORED CORE FAN

アーマード・コアファン

ホーム > 小説ギャラリー > 死神と天使第二章-過去のしがらみ 第七話-

話が一通り終わると、いつの間にか目の前には自分の家が近づいていることに気づいた。
「・・・どうする?」
「続きは家でゆっくりと聞きたいな。このままの体勢じゃ正直ちょっと辛いし・・・。」
フリアは少し疲れた様子であったので、そのまま話を打ち切りガレージに入った。

ガレージから家の中に入ると既に時間は5時近くだ。俺とフリアは静かにソファに座るとしばらく無言であった。
「・・・ねえ。さっきの話の続き。」
「・・・もう少し長くなるぞ。」
「それでもいいの!中途半端なのは大っ嫌い!」
すこし声に力がこもっていた。そこまで俺の過去の話が気になるのか。
俺は冷蔵庫から“コイロスの水”のペットボトルを一本取り出すと、グラスを2つテーブルの上に置き話を再開した。

しばらくはペイント弾での戦闘や、高度な戦闘技術及び戦況把握の技術などの訓練を行った。
訓練には慣れていたが、初めの訓練以来他の隊員とはあまり親睦を深めることはなかった。
同じ隊にいて言葉一つ交わさないというのは戦場では連帯問題が生じる。
俺はそのつもりはないが、相手はそうと思ってはないようだ。
やはり元は普通のAC乗りといったところか。
俺は初めから歩兵部隊にいたので、戦場での状況はよく知っているつもりだ。
しかし中途半端な自信と腕を持ったAC乗りだと、変に自分を過信してしまうことが多い。まさに安っぽいプライドの塊だ。
訓練をしていて1ヶ月経ったころだろうか。初めての任務がきた。
皆が召集をかけられ一列に並ぶ。ダイル隊長が入ってくると一斉に敬礼をした。

「今回の任務はポイント402,695に展開するミラージュ部隊の掃討だ。
この一体は一面に森林があり周りは断崖に囲まれている。
そのため今回は迎撃任務に特化した私達の部隊に任務がきたということだ。
作戦開始時刻は今日1500時。それまでに各自機体の整備・点検をしておくように。以上。解散。」
また敬礼をすると皆が回れ右をして歩いていった。しかし
「フィンバー軍曹。」
後ろを向くとダイル隊長が俺を呼んでいるようだった。
「何でしょうか?」
「今回の作戦はお前に隊長をしてもらう。私はあくまでも教官ということだ。
それでもう一人この部隊に急きょ加わることになった。ここに書類がある。目を通しておいてくれ。では。」
とダイル隊長はそのまま歩き去ってしまった。一瞬意味が分からなかったが自分が隊長に指名されたことは分かった。
機体の脚にもたれて書類を見ていると、一機のACが搬入されてきた。

「ちわー!ここが第7部隊かな?俺が配属になった元第6部隊所属ファイケンド=ガンクロードだ。
正直下っ端の部隊に転属は気に入らないけどこれも仕事だからな。まあクロドでよろしく!」

とガンクロードは軽い敬礼をしながら皆に挨拶をしているようにも見えた。
だがそれはただの皮肉にしか俺には聞こえかった。
結局ガンクロードともろくな会話をすることなく作戦開始時刻の1時間前になった。
俺たちは機体を輸送機に入れると、そのままシートに座り出発するのを待った。

「今回ダイル隊長に作戦隊長を指名されたカイル=フィンバーだ。作戦開始は10分後。
各自コクピット内で別命あるまで待機。分かったな。」
しかし返事はまったく聞こえない。俺のような年下に指図されるのが嫌なのは重々承知している。
しかしこれは任務であり、やらなくてはならない“仕事”なのだ。そのようなことを言ってるものは戦場で死ぬだけだ。
『作戦領域に到達しました。AC投下後、空域を離脱します。』
「作戦開始だ。」
パイロットからの通信が入るとすぐにAC固定用ジョイントを解除された。
重力に逆らうことなく機体は加速を増し、地面までの距離がどんどん縮まる。
『メインシステム 戦闘モードに移行します。』
ブースターを吹かすとゆっくりと速度を落とし、地面スレスレで機体は空中に静止した。
そのままペダルから足を離すと機体はそのまま地面に着地にした。振動があったが気になるほどではない。
『ミラージュのMT部隊を複数確認しました。』
その声は紛れもなくリサのものであった。リサの声を聞くのは実に久しぶりのことだ。
『部隊は2km先よりこちらに向かってまっすぐ向かってきます。至急迎撃してください。』
「了解。各自その場に待機。部隊を迎撃しろ。」
『はあ?だりーなあ〜。』
『まーまー大人しく隊長には従いましょうよ。』
『それもそうか。隊長殿だからな!ヒャハハ!』
この声はバンガールとヴァンダル。俺よりも10以上歳上だが、まだ人間的にできてないようだ。
それかただの精神異常者か・・・。

その時レーダーに数個の赤い点が映る。俺はリニアカノンを構えると、そのままトリガーを引いた。
反動とともに砲弾が飛んでいき、着弾点に爆発が起こる。
『!クレストの部隊だ!全機戦闘態勢に入れ!ここを突破するぞ!』
相手部隊の通信が入ってくる。こちらには傍受装置がついているので丸聞こえだ。
そのままACとMTによる戦闘が始まる。いや、戦闘と言えるほどのことも起こらなかった。
戦力差は歴然としていた。MT30機とAC8機では明らかに分があった。



『うわあー!』
最後のMTにブレードを突き刺すと、その場で爆発が起こる。
「・・・これで最後か?」
レーダーに赤い点はない。あるのは友軍を示す青色のみだ。
『敵勢力の全滅を確認しました。作戦を終了してください。』
「了解・・・いや、待て。」
次の瞬間、レーダーが効かなくなる。高度のジャミングがかかっているのだ。
「増援のようだ。今度は少し厄介そうだ。各機気をつけろ。」
『火のないところに煙はたたないってね。』
バンガールの言うとおりだ。これはAC用のECMだ。相手もACである可能性が高い。
「αチームはC−2、βチームはC−4にまわれ。」
チームも緊張感が出たか、俺の指示を聞いてくれた。βチームが岸壁の反対側にいったことを確認すると、俺も動き出した。
ゆっくりと前に進んでいく。後ろに3機のACが続いてくる。
「ウォーリア。レーダーはどうだ?」
『全然駄目っす。』
ウォーリア機には肩部レーダーが装備されているが、それでも捕らえることができない。
かなり強力なECMのようだ。その時、レーダー表示が真っ赤になった。
「何!?」
初めて見る状態なので一瞬驚いた。ECMのノイズが強力すぎてレーダーが壊れたのだ。
「各機停止。バンガール、ヴァンダル。キャノンを構えろ。敵が近づいてるぞ。」
俺は右腕に装備されたアサルトライフルを構えると、周りを見渡した。
『敵がいるんだろ!?なら突っ込むしかねえよ。』
『同感だね。行かせてもらいますよ、隊長殿。』
バンガールとヴァンダルは俺の指示を無視し、武器を構えたままブースト移動し始めた。
「待て。迂闊に動くな!」
俺がブースターペダルを踏み込もうとした瞬間、目の前で爆発が起きた。
閃光で視界がまったく見えなくなった。
「く・・・。」
ブースターで後退しながら俺はライフルを構えた。モニタが回復すると、そこには大破したACが一機横たわっていた。
右腕のショットガンから、それがバンガール機であることが分かった。
すぐ横には左腕が吹っ飛んだヴァンダル機。
「全機!後退しろ!」
俺はその場に停止すると、ライフルを構えた。
『くそ!馬鹿野郎め!』
ヴァンダルは真っ直ぐこちらに来たが、ウォーリア機はそのままだ。
「後退しろ!ウォーリア!」
『うわあ!来るな!』
次の瞬間、ウォーリア機から爆発が起こる。
「くそ!」
ふと、断崖の上を見ると、そこには一機のAC。
真っ黒の機体に不気味に赤く光るカメラアイ。
肩にはキャノン系武器と見たことのないパーツがある。
そして肩に付けられたEXには補助ブースターと思われるものが装備されている。
「コイツが例のAC狩りの犯人か!」
そのACはその場で高くジャンプをすると、コアの後部から光の翼がはしる。
するとACは右方向へ物凄い速度で飛んでいった。
「・・・何なんだ・・・。」
しかし、次の瞬間すぐに気づいた。
「!あっちにはβチームが!」
この機体にOBが装備されてない上に、ブースター速度が260しか出ない。

急いで移動するものの、一向に断崖を登ることができない。
『隊長!攻撃を・・・』
入った通信がすぐに切れた。それとともに凄まじいノイズがコクピット内に響く。
「くっ!オペレーター!状況どうなってる!?」
『β−1、β−2、β−4撃破され・・・β−3も撃破されました!』
「くそ!」
やっと断崖を登りきるとそこには無惨な光景が広がっていた。
4機のACであったものが今では金属の塊にしか見えない。
そしてその煙の中に漆黒のACが一機佇んでいる。
「一体何が目的だ!?」
俺は断崖の上から漆黒のACに向かってリニアキャノンを構えると、そのままトリガーを引いた。
しかし、ロックオンができてない状況なので簡単に避けられてしまう。
そのACはこちらに向かってきながら、右腕に装備されたマシンガンを撃ってきた。
武器を切り替えると同時に左に回避。徐々に相手との距離が詰まる。
その時、そのACのマシンガンの下に何かがついていることに気づいた。
一瞬何かと思ったがすぐに分かった。

そこからグレネード弾が発射され、右上腕部に直撃する。
「ぐっ」
防御の方を中心とした機体なので一発で装甲が飛ぶことはなかったが、これ以上グレネードを喰らうわけにはいかない。
俺は上空に飛ぶと肩のミサイルとエクステンションの迎撃ミサイルをパージした。
ロックオンできない状況ではただの重りにしかならない。
そして落下していくミサイルにライフルを撃ち込んだ。
ミサイルは爆発をし、漆黒のACも巻き込む。
「・・・やったか。」
機体はそのまま自由落下をし、ブースターを吹かし地面に軟着陸する。
しかし、着地した瞬間に煙の中からグレネード弾が飛んでくる。
弾頭はまたも右腕に直撃し、爆発した。
「まだだ!」
俺はEOを発射し、煙に向かってブースターペダルを思いっきり踏み込んだ。
それと同時に漆黒のACも煙から出てくる。
こちらがブレードを構えると、相手もブレードを構えた。
再び互いの距離が詰まる。そして―

「バシュッ!」
お互いのブレードが当たり、鍔迫り合いが起こる。
「くううぅ!」
ブースターペダルは全開に踏み込んでいるが、相手の方が数倍は高機動である。
こちらの方が重量はあるので対抗できているが、徐々にこちらの機体が押され始めた。
しかし、次の瞬間―漆黒のACから光の翼がはしり、そのまま後ろに凄い勢いで押された。そして
「ぐお!」
そのまま機体は断崖に叩きつけられた。コクピット内には警報がこれでもかと鳴り響いている。
目が閉じそうになるが、無理矢理こじ開けた。その時薄っすらと見えるモニタは漆黒のACをロックオンしていた。
よく見ると相手の左肩に装備されたパーツからは火花が飛んでおり、それがノイズを発生させていたのだと思った。
おそらく先ほどのEOが僅かながら相手にダメージを与えたのだろう。漆黒のACは俺の機体のすぐ前でそのまま佇んでいる。
『・・・チェックメイトだ。フィンバー軍曹。』
漆黒のACがこちらにマシンガンを向ける。俺はすぐにリニアキャノンを構えると、迷わずトリガーを引いた。
『何!?』
ほぼゼロ距離から発射された弾頭は漆黒のACの頭部パーツを吹き飛ばした。漆黒のACはそのままバランスを崩し後ろに倒れこむ。
「終わりだ!」
そのままリニアキャノンの砲身をコアに押し付けると、トリガーに指をかけた。
しかしその時、

倒れたまま漆黒のACは肩キャノンを発射した。
それはプラズマキャノンで、発射と同時にこちらの頭部パーツとリニアキャノン、しまいには後ろの断崖さえも吹き飛ばしてしまった。
『・・・勝負はおあずけだ。フィンバー軍曹。』
メインカメラはおろかレーダーもやられた状態だったので漆黒のACが後退する様子は見ることができなかったが、
OBの起動音だけははっきりと聞こえた。

その後、ヴァンダルが呼んだ救援により俺達2人の機体だけが回収された。
他の機体はコクピットブロックだけが回収された。
基地に着いた後はまた待機命令が言いわたされた。
前回同様の処置であったが、
前回と違っていたところは俺の意識がある点と生存者がもう一人いたことだ。

 

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