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ホーム > 小説ギャラリー > 死神と天使第三章-堕ちゆく世界 第七話-

「・・・あれでよかったの?」
ソファの目の前に座っているフリアが言ってくる。
「・・・ああ」
俺は相手のレイヴンにとどめを刺さなかった。別に同情したわけでも気まぐれでもない。
俺はこの力を人を殺すためでなく人を守るためにつかっているのだと思いたかっただけだ。
自分の中で言い聞かせていたのかもしれない・・・
だが今となってはそれが俺の中での信条であり、戦う唯一の“理由”となっているのかもしれない。

「まあいいけど・・・今何時?」
「・・・4時半だ」
いつの間にか時間が経過していた。
いや、戦闘がありその後の後始末・戦闘記録などを取っていたらいつの間にかこんな時間になっていた。
今はその作業が終了し、やっとソファでくつろいでいるということだ。
「さ〜て・・・疲れたしシャワーでも浴びてこようかな〜」
特になにか大きい作業をしたわでもないフリアだが、ソファから立ち上がり奥の風呂場へと向かっていく。
「分かってると思うけど・・・覗かないでよ」
「・・・」
風呂場から顔だけをこちらに覗かせ忠告をしてくる。
今どきそんなことをする輩がいるのであれば、それこそ見てみたいものだ。

しばらく物音がした後、とたんに物音がしなくなる。浴室の中に入ったのだろう。
「ビービー」
ふと玄関のインターフォンが鳴る。特に来客の予定などなかったのだが・・・誰であろうか。
玄関の扉を静かに開ける。そこにはそのブロンドの瞳に合わせたようなブロンドの髪の女性が立っていた。
「大丈夫でしたか!?カイルさん!」
俺の身長よりも低いが背伸びをしてまで俺にその顔を近づけ、少し興奮気味なその女性は言った。
「あ・・・ああ」
その勢いにあまりに圧倒され一瞬言う言葉が思い浮かばなかった。
「そうですか・・・よかったです・・・」
彼女は心底安心したようにその場にへたり込んでしまった。
そこまで心配させてしまったのだろうか。
その原因はこちらにあるのだが・・・。
「・・・まあここでの話もなんですので中へ・・・」
手を差し伸べとりあえず立たせ、そのまま手を引くように家の中へと導く。

とりあえずソファに座らせると俺もその反対側へと座った。
「・・・」
「・・・」
お互いに何も話すこともなく、ただ黙って座っているだけ・・・。
「・・・」
「あ・・・」
ふと何かを思い出したように小さな声があげた。
「そういえば・・・」
と何か言いかけた瞬間だった
「ふぅ〜・・・気持ちよかった〜・・・あれ?」
と風呂場からフリアは白のタンクトップに短パンという涼しい格好であった。
「あ〜ミリさん。こんにちは〜。どうしたんですか?」
フリアは初めからからいたような態度で話かけると、そのまま右側のソファに座った。
四角いテーブルを挟み、三人で二等辺三角形をつくっている状態だ。
「それで何の話だったんですか?」
「・・・」
「・・・」
「・・・?」
何も言い出さない俺達に、頭の上に?マークが浮かぶフリアだが途端にミリが話し始めた。
「あ・・・そうです・・・あの後は一体どうなったんですか?」
「ああ・・・あの後か・・・」
「あの後ってさっきの戦闘ですよねえ。それがですねえカイルが・・・」
俺に話しかけてきたはずであったが、いつの間にかその質問にはフリアが答えるかたちに
「・・・あれはお前がやったんだろ・・・俺は何もしていない」
「あーー、責任を私に押し付けますかそこで。あれは絶対にカイルのせいでしょ!?」
「あそこでお前がコンソールを引っ張らなければ抜けなかったはずだ」
「それはあなたにも言えることでしょ!?」
「え・・・えーと・・・」
俺達二人が怒鳴りあっている間、ミリにはその状況がまったく読めていなかった。
「結局・・・」
「なんであのとき私に貸さなかったのよ!?」
「俺が任務をこなしたのだから、俺が報告をするというのは妥当だろう」
「だから私が代わりにやってあげるって言ったじゃない!?」
「別に誰も頼んだわけでもないがな」
「私はただ親切でやろうとしただけでしょ!?」

その時、突如として巨大な音―例えていうとすれば平手で蚊を潰したときの1000倍の大きさの音―
「いいーーー加減にしてくださいぃぃ!!!」
その巨大な音と大きい声より、一瞬身体が反応してしまう。
すぐにその音がしたほうを見るとそこには机に両手をつき、立っているミリの姿が。
「・・・」
「・・・」
「・・・は!私としたことが・・・取り乱してしまいすみません・・・」
「い・・・いや・・・」
ミリは申し訳なさそうにそのまま元のソファに腰掛けた。正直驚いた。
彼女とは一年間ほぼ毎日のように見てきたが、ここまで感情的になった姿を見るのは初めてであった。
「・・・」
「あ・・・それで結局どうなったんですか?」
「ああ・・・あの後だな・・・あの後は・・・」
と俺はあのときのことを話し始めた。


途中フリアが煎れてくれたコーヒーもいつのまにかいい具合に冷めていた。
「・・・つまり戦闘終了後報告をしようと思って、
そこでカイルさんとフリアさんがどっちが通信をいれるかで口論となって誤ってコンソールパネルを壊してしまったと?」
「・・・」
「上手くまとめてもらった通りです・・・」
俺達二人は申し訳なさそうにミリに対して頭を下げるしかなかった。
「まったく・・・私がどれだけ心配したか・・・」
「・・・」
「いきなり通信は入るし・・・戦闘がやっと終わったと思ったら今度は回線が切れるし・・・」
(ミリさんってこんな人だったの?)
フリアが俺に小さい声で聞いてきた。正直俺も思ってはなかった。
(いや・・・)
「カイルさん!聞いてますか!?」
「え・・・はい」
「大体ですねえ・・・私がもう一年もオペレーターやっているというのに・・・」
いつの間にか話すことに熱が入ってしまった彼女を止める術はなく、ただそのまま時間だけが過ぎていった。

 

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