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ホーム  > 小説ギャラリー > 「十字架の天使」 > 第五話「Meet an Angel」

「冗談じゃないぜ!こんな所で殺されるのはよ!」

コクピットの中でクリフは絶叫した。

どんどんと大きくなる白いACの姿、恐怖も比例して大きくなる。

「このままいたら、マジで死ぬな…脱出する!」

急いでコクピットハッチを開け、外に出るとクリフは走り出した。

5メートル程走った時、クリフの後ろから轟音と爆風が襲いかかった。

「のわああぁぁぁぁぁ!!!」

クリフは爆風に押されるように吹き飛ばされた。

「ってー!!…畜生…」

なんとか受け身を取ることが出来たが体中に痛みが走る。

「あ〜あ……せっかくの映像が……一からやり直しってやつか〜」

クリフは目の前で燃え上がる炎を見つめた。先程まで乗っていたMTはもう跡形も無くなっていた。

「まあ、生きているだけでもよしとしますか…どっかから車かバイクを拝借しねーと…なっ!!」

ズンッと大きな音を立て、白いACがクリフの目の前に着地した。

「クッソー…とどめ指すつもりか…」

体中に痛みが走り、クリフはまだ立つことができない。

クリフは懐から拳銃を取り出した。しかし相手はAC、拳銃なんて効くわけがないが、クリフは無意識の内に取り出していた。

しかし、白いACは立て膝をつくと機能を停止させ、コアの上部にあるコクピットハッチが開いた。そこから人影が出てきた。

コクピットから降りてきた人影はゆっくりとクリフに向かってくる。しかし、その表情はヘルメットに覆われて分からない。

「???!」

クリフは呆然とした。しかしその手に握っている拳銃の構えを緩めなかった。

クリフの目の前でその人影は立ち止まり、ヘルメットを脱いだ。

「大丈夫か?」

クリフはびっくりした。目の前にいる人物は明らかに自分より年下の青年。ライトブルーの瞳に、風になびくプラチナブロンドの髪がどこか神秘的な雰囲気だ。

(俺よりもガキ?アライアンスの連中がビビっているあの「十字架の天使」がこんなガキかよ…?信じられねえ…)

「おい」

「!?な、なんだ?」

ヴィラスのいきなりの呼びかけにクリフはびっくりした。

「危なかったな、こんな所で昼寝は危険だぞ」

「はぁ???」

いきなり突拍子もない言葉にクリフは唖然とした。

(な、何だコイツ…スゲェのか、アホなのか?い、いや、こいつが本当に「十字架の天使」かどうか直接聞くチャンスだな、よし!)

「なあ、お前。ちょっと聞きたいことがある。」

今度はクリフが口を開いた。

「お前が『十字架の天使』てやつか?」

ヴィラスは、ポカンとした表情を浮かべると、クリフの足下をチラッと見た。

「足、怪我しているぞ」

「は?」

クリフの右足からは出血しているのか、ズボンが赤黒くにじんでいる。

「いや、だから足、怪我しているって言っているだろ」

クリフはそれに構うことなくもう一度、ヴィラスに問い質した。

「俺の質問聞いてなかったか?もう一度聞くぞ、お前が『十字架の天使』てやつか?」

「かっこいい名前だな。それ」

(自覚な〜し!)

「来な、怪我の治療をしてやる、乗りなよ」

ヴィラスは機体を指さすとクリフに手を差し伸べた。

「あ、ああ…(だ、大丈夫かよ…)」

クリフはただ呆然とするしかなかった。

ヴィラスはACに先に乗り込んでいた。クリフはそれに続いてコクピットの中に入ろうとしたが元々一人乗りのACのコクピットに二人が乗り込むのは無茶なものがある。

「苦しいな。ちょっと外出てくれ」

「ふざけるな!俺を殺す気か!」

「気合いでなんとかしてくれ」

「ぶっ飛ばすぞ!テメェ!!」

「冗談だよ。そうだ、アンタ名前は?」

「あぁ…?!ク、クリフ・オーランド。お前は?」

「ヴィラス、ヴィラス・フェイザー」

二人を乗せた機体は夕日の光を浴びながら、その場を飛び去った。



2時間ほど移動したのだろうか。ACはようやくガレージらしき場所についた。

「よし、着いたぞ。おい、クリフどうした?」

「お前さぁ……あれ程安全運転しろって言ったのにいぃぃぃぃ…うぅっ……」

ケロッとした顔のヴィラスとは逆にクリフの顔は青ざめていた。

「てめぇ、無茶苦茶な操縦をするなよ〜あんなにぐねぐね曲がりくねった谷沿いをなんでOB使ったまま抜けようとするんだよおぉぉぉ……」

「いや、だってあそこからならショートカットになるかなと思ってさ」

(ぜってー違う!)

コクピットから降り立った二人だが、クリフの足取りはフラフラしていた。

「おかえり〜ヴィラス」

奥から、ブラウンのロングヘアーの少女が出てきた。

「あ、紹介するよ。彼女が俺のオペレーター、ルシーナ」

しかし、彼女はクリフの顔を見るといきなり、

「誰!?この変質者?」

これにはさすがのクリフもさっきまでの酔いも忘れて少女に詰め寄った。

「おい、嬢ちゃん。俺は生まれてこのかた25年だが、初対面の人間に「変質者」と呼ばれたことはねぇなぁ…ケンカ売っているのか!?」

「こんな青ざめた顔で、フラフラの足取りをみれば誰だって変質者に見えるわよ!それにヴィラスも!なんでこんなの連れてきたの!敵のスパイだったりしたらどうするの!」

ルシーナの怒声がガレージ中に響き渡る。

「アイツの無茶苦茶な操縦で酔っちまったんだよ!見りゃわかるだろ!」

「ルシーナ、違う、こいつは基地の近くで昼寝してたところ、戦闘に巻き込まれたんだ。それにこいつは、そんな奴じゃない…と思う」

「な、なんだと?!ふざけるな!テメー!(つーか、まだアイツ思い違いしてるのか?)」

「ふーん…、とんだ大バカね〜。大丈夫なの?こんな変なの連れてきて…」

「怪我してたし、治療するだけなら大丈夫だろ。ちょっと待ってろ今、救急箱取ってくるから」

「まあ、いいわ。私は、ルシーナ・ルネファール。よろしくね♪変質者」

ルシーナはやれやれといった顔をしながらクリフに手を差し出した。

「ああ、よろしくな。クソガキ」

「ケンカ売ってるの!?」

「どっちがだ!!」

「足、見せてみろよ。治療するからさ」

ヴィラスは救急箱を持ってきていた。

「悪いな」

これが、二人の出会いであった。

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